訪問した人
株式会社大林組
技術研究所 環境技術研究部 主任
木梨 智子さん
来年、開港150周年を迎える横浜を訪れたのは株式会社大林組の木梨智子さん。大学では建築を専攻し、現在は研究所で大規模な風洞を使って、ビル風の影響などを研究しているそうです。「学生時代には、国内外の歴史的建造物を見て歩きました」という木梨さんとともに、横浜の街を巡りました。
最初に訪れたのは、今は横浜市歴史博物館となっている旧横浜正金銀行。「さすがに銀行だけあって、重厚な建築ですね」と、さっそく興味を持った木梨さん。館内には、開港期に西洋文化が日本に伝わった様子などが展示されています。
少し歩いて、横浜三塔と呼ばれる「キング(神奈川県庁)」「クイーン(横浜税関)」「ジャック(横浜市開港記念会館)」を訪れました。「クイーンの建物は、やはり女性的な感じがします。昔の人はうまく命名したものですね」と木梨さん。
ジャックの資料室には、建設時の写真や、復元前の資材が保存されていました。建築が専門の木梨さんも「今も変わらない建築現場の息づかいが聞こえます」と感慨深げです。
近くにある開港広場は、江戸幕府とアメリカが日米和親条約を結んだ記念すべき場所で、現在は石碑が建っています。すぐ横の横浜開港資料館は、旧英国総領事館の建物です。
ここから海沿いに進むと、赤レンガ倉庫に行き当たります。明治の「模範倉庫」も現在はショッピングモールに。木梨さんは「保存ではなく、現役なのがいいですね。ヨーロッパの古い町並みとも相通ずるものがあります」と感心します。
「横浜三塔を同時に見ると幸せになれる」と聞いて、帰り際、倉庫前の広場から三塔を見渡しました。「それぞれの時代に、最善を尽くして最高の建物を造る。その精神にロマンを感じますね」と木梨さん。横浜の歴史を満喫した一日でした。
横浜一口メモ

ジャック館内の階段部分にある美しいステンドグラスは、関東大震災後の1927年(昭和2年)に復元されたもの。「船が描かれているのが、港町らしくてすてきですね」と木梨さん。
■ここでチェック
歴史的建造物が数多く残る横浜。外国貿易の振興を目的に設立された旧横浜正金銀行の本店は、ネオ・バロック様式を特徴とする本格的な西洋建築で、1904年(明治37年)の建造です。
キング、クイーン、ジャックの三塔は、それぞれ1928年(昭和3年)、1934年(昭和9年)、1917年(大正6年)の建造。キングは西洋風の建築に和風の高塔を載せた帝冠様式。クイーンはイスラム寺院を思わせる緑色のドームが特徴。ジャックは赤レンガと花こう岩による辰野式フリークラシック様式。すべて現役の施設ですが、業務に支障のない範囲であれば内部見学も可能です。
旧英国総領事館は1931年(昭和6年)の建造で、当時のイギリス式建築様式を色濃く反映しています。かつての待合室は現在、見学者の休憩室として使われており、建物内部も見学可能です。
赤レンガ倉庫は1911年(明治44年)の建造で、日本初のエレベーターや避雷針、消火栓、耐火構造の床などを備えた、当時最先端の倉庫。現在は商業施設を中心とする観光スポットです。
